TSLリース解約通知

2005 年 6 月 10 日 カテゴリー: blogsニュース

高速船TSL 運航会社、リース解約通知

年20億円赤字予想

東京港-小笠原諸島間に今秋就航予定の高速船
「テクノスーパーライナー」(TSL)について、運航会社の
小笠原海運(本社・港区)が
「赤字分に対する支援策を国が示してくれない」として、
船の所有会社にリース契約の解除通知を送ったことが十日、分かった。

支援策については都をまじえた三者で協議中で、
同社は「確たる支援措置が確認できれば、契約を元に戻す」としている。

TSLは国土交通省が中心となって開発した高速船で、
現在は二十五時間半かかる東京-小笠原間の運航時間が、
十六時間に短縮される計画。

だが、小笠原海運は「原油価格の高騰などから、
年間二十億円の赤字が予想される。
赤字が出た場合は国が助成金などの支援措置を取るはずなのに、
まだはっきりした回答がない」として、今月二日、船を借りるはずだった
会社にリース契約の解除を通知した。

国土交通省造船課は「来年度予算の準備中なので、
確たる支援策を示すことができない段階。
年間二十億円の赤字というのは、一方的に出された数字だ。
国と都と会社側で現実的な数字をこれから合意し、
足りない部分に対する支援策を協議していきたい」としている。

■『小笠原に小規模空港』 検討の必要性都知事が示す

テクノスーパーライナー(TSL)の運航会社が船の所有会社に
リース契約解除を通知したことに関連し、石原慎太郎都知事は
十日の定例会見で
「TSLがつまずいた時のことも考えないといけない」として、
小笠原諸島に小規模の空港建設を検討する必要性を示した。

石原知事は「ジェット機が飛ぶような飛行場は無理だが、
民間の二十人近い人が離着陸できる緊急用の飛行場も
考えなくてはならない。
山をほんの一部削るだけで済むような案もあると思う」と述べた。

小笠原空港の建設をめぐっては、一九九一年に
国の第六次空港整備五カ年計画で採択。
都は九八年、千五百メートルの滑走路建設を計画した。
しかし、事業費の増加や自然環境への影響などから、
二〇〇一年に計画を撤回した経緯がある。

2005/06/10 東京新聞

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東京~父島高速船計画が暗礁に 「大赤字」と運航会社

「海の新幹線」との触れ込みで、東京港―小笠原諸島・父島に
今秋就航予定の超高速船「テクノスーパーライナー」(TSL)を
運航することになっていた小笠原海運(本社・東京)が、
「膨大な赤字が見込まれるのに、約束した国の支援策が示されない」
として、船を所有する「テクノ・シーウェイズ」(同)に
リース契約の解除通知を送ったことが分かった。
官民あげた大型プロジェクトとして進められた「夢の高速船」は、
第1弾から就航そのものが危ぶまれる事態となっている。

テクノ・シーウェイズ側は「大きな目的に向かって進んでいる。
今さらそんな時期ではない」と、解約を承諾していない。

TSLは、00年に旧運輸省(国土交通省)が運航希望者を募集。
東京都小笠原村を含む8者が名乗り出た。
新潟―苫小牧や、鹿児島―種子島・屋久島航路などもあったが、
最終的に東京―小笠原航路が選ばれた。
船は日本政策投資銀行や民間企業などが出資する
テクノ・シーウェイズが約115億円をかけて建造。
今秋に完成し、小笠原海運がシーウェイズから借りて
運航する計画になっている。

父島までの約1000キロを、現在の定期船よりも10時間短い
16時間で結ぶ。これまでの年間60往復から92往復に
増やす計画で、最短でも丸6日間かかった父島までの往復を、
「金曜の夜に出発し火曜の朝に戻れる」と売り込んできた。

しかし、小笠原海運によると原油価格の高騰に加え、
島内の宿泊施設などの整備が進まず利用客の大幅増が
期待できない状態という。年間利用客がこれまでの
4万2000人から5万人に増えても、赤字は年間20億円に
のぼると試算。資本金1000万円の同社は、
就航1年以内に破綻(はたん)するという。

同社は「そもそも赤字が見込まれ、損失が出た場合には
国が航路維持のため支援することを条件に引き受けたが、
現時点で支援の枠組みがはっきり示されない」と、
解約を求めた理由を話す。ただ、支援措置が確認できれば
契約を元に戻す可能性もあるという。

〈テクノスーパーライナー(TSL)〉
国内主要港やアジアを結ぶ海上交通手段の大型プロジェクトとして、
旧運輸省(国土交通省)が民間の造船会社と共同開発した
世界最大級の超高速船。乗客数約740人、空気で浮かせることにより
時速約70キロの高速航行ができる。

2005/06/10 朝日新聞

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