外来種巻き貝が大繁殖

2007 年 11 月 4 日 カテゴリー: blogs

小笠原・父島で外来種巻き貝が大繁殖…世界遺産登録ピンチ

世界自然遺産登録を目指す小笠原諸島(東京都小笠原村)の父島で、
外来種の巻き貝「ヌノメカワニナ」が大繁殖していることが、
国立環境研究所(茨城県つくば市)などの調べでわかった。

環境省が絶滅危惧(きぐ)種に指定するオガサワラカワニナを
完全に駆逐する勢いという。同諸島の自然遺産登録に向けて、
米原産トカゲなど外来種の駆除が課題になっており、
また一つ問題が持ち上がった形だ。

ヌノメカワニナは、国内では父島とほぼ同緯度の奄美大島が
北限とされる。川底の藻類を餌にするのはオガサワラカワニナ
(体長2・5センチ程度)と同じだが、ヌノメは雌雄同体のため
繁殖力は圧倒的に強い。

国立環境研究所は地元のNPO法人「小笠原自然文化研究所」と
共同で調査を進めている。川底の調査で2005年6月、島内で
最も大きい八瀬川でヌノメを初めて発見。その後、他の4河川でも
相次いで見つかり、生息域は月日を追うごとに拡大した。
今夏の調査では、清瀬川、大村川の全流域と八瀬川中流で
オガサワラと完全に置き換わっていることが判明。
1平方メートル当たり3000個以上を確認した地点もあった。

父島の川には絶滅危惧種で、カワニナのような小さな貝類を
捕食するオガサワラヨシノボリ(ハゼ科の淡水魚)などが生息しており、
他の生物への影響も心配されている。同研究所の佐竹潔研究員は
「このまま放置すると、オガサワラカワニナは全滅するかも知れない」と
指摘している。

「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる小笠原諸島には多様な
固有動植物が生息する。国は11年を目標に、国内4か所目となる
自然遺産登録を目指している。

ヌノメカワニナ 体長1.5センチ程度。東アジアやアフリカなど熱帯、
亜熱帯地域に広く分布。カリブ海の島々やニュージーランドでも
在来種を駆逐して問題になっている。観賞用熱帯魚の水草に
付着して運ばれ、水槽の水を捨てることで河川に入り込むとの
見方が強い。国立環境研究所では、どの地域から移入したかを
特定するため、遺伝子情報の分析を進めている。

(2007年11月2日 読売新聞

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