日本藻類学会 今春本格調査始める
海藻の固有種探し 「東洋のガラパゴス」小笠原
世界自然遺産の登録に向けて国が準備を進めている
小笠原諸島(東京都小笠原村)について、日本藻類学会(会長、川井浩史・神戸大教授)は今春、
沿岸海域に生える海藻を対象とした初の本格調査を始める。
同諸島は固有種の動植物が多く「東洋のガラパゴス」と呼ばれる。
陸上に自生する植物は約4割が固有種とされるが、
海藻は調査例が少なく、よくわかっていない。海藻の固有種の
割合などを明らかにすることで、海の生態系についても小笠原の
ユニークさを世界にアピールしたいという。
計画では、筑波大や国立科学博物館、京都大、九州大などから
海藻に詳しい第一線の研究者を10人程度集め、5月から一斉に
調査を始める。1年~1年半の間に、複数回の調査を集中的に行い、
世界自然遺産の指定に向けて早期にデータをまとめたいという。
小笠原の海に生える海藻の種類や分布状況だけでなく、
遺伝子レベルでの系統分析なども行う。調査結果は学会誌に発表し、
ホームページでも一般公開する予定だ。
川井会長は「調査によって、新たに固有種の海藻が見つかる
可能性が高い。調査結果は、小笠原の海洋環境を保全するための
基礎データとして役立つはずだ」と話している。
2007年01月07日 朝日新聞