鳥島→小笠原、アホウドリ「移住」作戦

2006 年 5 月 21 日 カテゴリー: blogsニュース

鳥島→小笠原、アホウドリ「移住」作戦 火山活動避け

伊豆諸島・鳥島の将来の火山活動で、同島に繁殖地を
もつ国の特別天然記念物「アホウドリ」が壊滅的な被害を
受けるのを避けようと、ひなを300キロ以上離れた
小笠原・聟(むこ)島列島へ「移住」させる計画が進んでいる。
山階鳥類研究所と環境省、米国魚類野生生物局が
共同で計画。同研究所は6月に事前調査を実施することを
決めた。鳥島、聟島列島ともに無人島で、移住開始は
08年春の見込みだ。

アホウドリは、布団用の羽毛を採るための乱獲で激減。
現在は約2000羽しか生息していないと推定されている。
繁殖地は鳥島と尖閣諸島に限られ、このうち鳥島が
世界最大の繁殖地となっている。

ところが、鳥島は火山活動が盛んで、02年8月にも
噴火が起きた。もし、アホウドリの子育ての最中に
噴火すれば、溶岩流などの影響で大きな打撃を受けると
心配されている。

計画では、鳥島で誕生する年200羽ほどのひなのうち
約10羽を船で小笠原・聟島列島に運ぶ。
移住先の島には研究者2、3人がテントで常駐し、
親鳥役として3カ月ほどひなに餌を与えて育てる。
これを5年ほど続ける。アホウドリは、巣立った島に戻って
子育てをする性質があるため、数年後には
新しい繁殖地ができるという。

聟島列島には、1930年代まではアホウドリが
営巣していた。ただ、人為的に繁殖地を作る際、
生態系への影響を慎重に判断すべきだとの指摘もあり、
詳細な事前調査をする。調査は6月中~下旬の予定で、
東北大や首都大学東京などから計10人前後の専門家が
参加する。

調査チームの苅部治紀・神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員(昆虫分類学)は
「近くに希少な動植物の分布が確認されれば、繁殖地を
作る場所をずらすなどの柔軟な対応が必要だ」と話している。

朝日新聞 2006年05月21日12時12分

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