小笠原空港に洲崎候補地
小笠原空港 候補地に父島『洲崎』浮上
石原慎太郎東京都知事が打ち出した小笠原諸島の
空港建設候補地に、父島の「洲崎」地区が
浮上したことが二十七日、分かった。
小笠原空港をめぐっては、二〇〇一年に石原知事が
環境保護などを理由に同島の「時雨(しぐれ)山」
周辺での計画を中止し、次世代超高速船
「テクノスーパーライナー」(TSL)の導入を決めた
経緯がある。しかし、原油高による燃料費の高騰で、
都は今月、TSLを断念、石原知事が空港建設を
再考すると表明していた。
洲崎地区は、父島中部から西に突き出した
岬の付け根に位置する。戦時中に軍部が浅瀬を
埋め立てて空港を建設した場所で、現在は
採石場や残土捨て場があるほか、
六百-七百メートルの空港跡地が
自動車教習コースとして利用されている。
都は採算面を考慮しジェット機の使用を想定。
百数十人乗りのジェット機が離着陸する
伊豆諸島の大島や、八丈島空港と同じ
千八百メートル級の滑走路か、数十人乗りの
ジェット機の就航を前提に、
千二百-千五百メートル級の滑走路を
一部桟橋方式で建設する可能性を検討するとみられる。
洲崎地区での建設案は一九九九年十一月、
国の「小笠原諸島振興開発審議会」で、都の担当者が報告。
「洲崎の陸地でとれる滑走路は六百メートルが
精いっぱい。仮に(小型の)コミューター機でも
二百メートル以上海域に滑走路を延長する必要があり、
桟橋方式でも(環境への)影響は避けられない。
建設費や維持費も膨大で、多くの問題がある」などと、
時雨山周辺での建設を決めた経緯を説明していた。
石原知事は今月十九日、「環境を守りながら、
大島や八丈島のような程度の空港は造りうる」と話し、
翌二十日も「卓抜したアイデアがある。
環境省も説得できるのでは」などと、
新空港建設に自信を見せていた。
また今年六月には、「TSLがつまずいたときのことも考え、
昔の案をもう一回ウオームアップされるべきかな、
という感じはする」と述べ、小笠原空港案の“復活”の
可能性に言及していた。
東京新聞 2005年10月28日