TSL使われず1年3カ月
浮かばれぬ海の新幹線 建造費115億…使われず1年3カ月
都心~小笠原諸島17時間「TSL」
東京都心と小笠原諸島(東京都小笠原村)を約17時間で結ぶ
海の新幹線「テクノスーパーライナー」(TSL)が、
岡山県玉野市の三井造船玉野事業所に係留されて1年3カ月。
一度も客を乗せることなく、全長約140メートルの巨大な姿を
漂わせている。
TSLは、旧運輸省と造船業界が平成元年に開発に着手。
1号船は国策会社「テクノ・シーウェイズ」が日本政策投資銀行
などから資金調達して三井造船に発注した。建造費は115億円。
740人乗りで、最高時速は70キロ。17年11月に就航予定だった。
だが就航直前になって、燃料費の高騰などから年20億円以上の
赤字が見込まれることがわかり、国土交通省と東京都は
互いの負担額が折り合わないとして就航を断念した。
国土交通省は、現在の安富正文事務次官が海事局長のときに
進めた計画だけに「就航はあきらめない」としているが、
このままではただの鉄のかたまりと化す可能性もある。
建造中の16年8月には岡山県を襲った台風16号に遭い、
浸水する被害にもあった。さまざまな思惑に漂流を続けるTSL。
先行き不透明なまま2度目の年を越した。
(2007/01/11 03:34 産経新聞)