3/29 外来種グリーンアノール 非常事態宣言と緊急提言 小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会

2013 年 3 月 29 日 カテゴリー: ニュース

小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会は3/29、平成25年3月下旬にかけて、小笠原諸島父島列島兄島南部において、発見された特定外来生物のグリーンアノールに関し、非常事態宣言と緊急提言をした。


参考資料:平成25年3月29日 関東地方環境事務所 報道発表資料[PDF]

兄島に侵入したグリーンアノールに関する非常事態宣言と緊急提言

小笠原諸島世界自然遺産の核心地域の一つであり、最後の健全な乾性低木林の生態系が残る兄島に、侵略的外来種グリーンアノールが発見されたことは、極めて重大で憂慮すべき事態です。
いうまでもなく、グリーンアノールは、父島と母島の昆虫相に激甚な被害を
与え、在来の花粉媒介昆虫の消失など、生態系に取り返しのつかない影響を与えました。
本種が兄島に定着することは、小笠原の世界自然遺産の顕著で普遍的な価値を著しく損なう結果になることを危惧します。
事態の重要性、緊急性を鑑み、小笠原諸島世界自然遺産科学委員会として、非常事態であることを宣言し、以下の緊急提言を行います。

1) 侵入初期の根絶こそが唯一の解決策であることを提言する
2) そのため、直ちに予算、人員とも、グリーンアノール根絶に集中する必
要がある。
3) 一時的に他の外来種事業の休止も考え、予算、人員を投入するべきである。
4) 生態系に対する一時的な攪乱を受け入れてでも、根絶を計るべきである。
5) 人員・資材の投入等に当たっては、ニューギニアヤリガタリクウズムシ
等の侵入および植物種子の拡散に対する防止策を実施する。
6) 小笠原の生態系を管理する、全ての行政機関・団体に、以上、要請する。

小笠原諸島世界自然遺産科学委員会は、本件に関し、あらゆる行政機関・団体と連携して積極的に関与していきます。


【参考】
 グリーンアノールは、アメリカ合衆国南東部を原産地とするは虫類で、昆虫類を捕食し、非常に繁殖能力が高いことから、特定外来生物による生態系への被害の防止に関する法律に基づく特定外来生物に指定されています。すでにグリーンアノールが侵入している小笠原諸島の父島・母島では、昆虫類が激減しています。

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